ヘルマフロディテの体温 (小島てるみ)
- 2008/05/20(火) 22:22:30

(本の内容)
ある日、母が「男」になった。
それが始まりだった。
以来、シルビオの世界は少しずつゆがみはじめた。
人に言えない悪癖にとりつかれ、他社と交わることもできなくなったシルビオ。
そんなとき、背徳と情熱の町のナポリで男でもない女でもない、謎めいた大学教授に出会う。
教授の出す奇妙な課題はさらに尋常ならざる世界へとシルビオをいざなう……。
年老いた女装街娼や去勢された男性歌手、伝説の人魚や両性具有の神たちが織りなす
哀しくも優しい異形の愛の物語。
ヘルマフロディテとは真性半陰陽のこと___つまり両性具有者のことだそうです。
さてこの内容をご覧の幾らかの方々は、眉を顰めてしまうかもしれません。
確かに同時デビュー作である「最後のプルチネッラ」より読者を選ぶでしょう。
しかし凄い小説を読みたいと思っているのであれば、ひるんではいけません!
まずビックリしたのは、いきなり「最後のプルチネッラ」でも存在感を示していたあの
タランティーナの登場。
確かに同じナポリのスペイン地区が舞台ですから出ても不思議ではないでしょうね。
物語はヘルマフロディテである大学教授に弱みを握られた主人公が、教授にある課題を
期限までに提示しなければいけなくなることから始まります。
それは「ナポリの<女になった男たち>の起源」を調べることでした。
仕方なくシルビオはナポリに住む女装者やトランスセクシャルにインタビューを
していきますが…
シルビオは果たして教授が欲する「真実ではなく、真実として感じさせてくれる途方もない
おとぎばなし」を作り上げることができるのか。
シルビオが調査し創作した物語がとにかく幻想的で濃密であり、妖しく官能的な世界でもう
クラクラしてしまいました。
特に第三楽章は圧巻でした。
そして教授して「最高の語り手が、私のために書いてくれた物語」もまた強い印象を残しました。
「最後のプルチネッラ」を読んだとき思っていた、ああいう話をもっと読みたいという思いは
この物語を読んだことで満たされました。
そしてこの物語もまた、こんなに圧倒的な読み応えがあるのに220頁も満たない量で作り上げることができるとは!
小島さん、恐るべし才能です!
読み終わったあと、しばらく言葉が出ませんでした。
そして「ありのままの自分」で生きることの大切さを改めて考えさせてくれるそんな素敵な
物語でした。
どなたにも読んで欲しい本です。
特に幻想的な小説が好きな方にはきっと読んで後悔しない本です!
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ヘルマフロディテの体温 小島てるみ
十歳で失踪した水の精のような大好きな母は三年後に戻った時「男」になっていた。そこから決して癒えることのない深い傷を隠して陽気に振る...
- From: 粋な提案 |
- 2008/07/10(木) 02:55:23
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この記事に対するコメント
こんばんは。
遅くなりましたが読みました〜。
幻想的で鮮烈で濃密でしたね。一気に引き込まれました。
さすがリベさんが選ばれた作品。面白かったです。
おすすめありがとうございました。
こちらはTB反映されて安心しました。
「こっちへお入り」が何度しても反映されなかったので。
またしてみますね。
>藍色さん
こんばんはー
畳み掛けてくる展開に息する間も与えないほど、とても吸引力が強い物語でした。
楽しんでいただき光栄でございます♪
TBはおかしいですね
タイトルが「こっちにお入り」なのに…ね(苦笑)。